作成者:三番隊隊長 まささん
皆様、新年あけましておめでとうございます。
木津新鮮組三番隊隊長の「まささん」です。
本年もシーフードの魅力をたくさん皆様にお伝えできればと思っていますのでよろしくお願い致します。
何せシーフードは種類が多い、各部位で味も食感も異なる、はしりや旬がある、料理法が多彩ときています。
きっと皆様も自分だけのお気に入りが見つかると思います。
ところで、大阪庶民の冬のうまいもんといえば何か皆様わかりますか?
それは、かす汁とかやくごはんです!
かす汁とは、お酒を造る過程で出てくる酒かすを使った酒蔵メーカーが数多く集まる関西地方で広く親しまれている郷土料理です。
酒かすにはビタミン類、炭水化物、アミノ酸などが豊富に含まれ、体を温める効果があると言われていまして、関西では冬の野外行事で
振る舞われる料理として有名です。
一方、かやくごはんの「かやく」を漢字で書くと「火薬」ではなく「加薬」と表記され、もともとは精進料理として薬草や野菜をいれた
混ぜご飯で、現在は鶏肉や魚介類が主に使用されています。
関東では一般的に「五目ごはん」と呼ばれているものが関西では「かやくごはん」と呼ばれています。
アツアツのかす汁で体の芯から温まって、だしの効いたかやくごはん、あとは大根の漬物が1切あればそれで十分ご馳走です!
思わずおかわりしてしまいます。(笑)
このかす汁とかやくごはん、両方に共通しているのが「だしのうま味」です!
しっかりだしを引くのが美味しく作るポイントです。
平安時代より昆布を料理に使う文化が根付いており、昆布とかつお節のうま味成分はともに日本人が発見しました。
昆布のうま味とかつお節のうま味は1+1=10ものうまみになるのです。
この組み合わせを確立した先人の知恵に脱帽するとともに、日本の文化を誇らしく思うのです。
ここで昆布とカツオの旨味合わせだしの作り方をご紹介いたします。
お鍋にお水と昆布を入れて火をつけて温めます。昆布は沸騰直前に取り出してください。
※沸騰させてしまうと昆布からぬめりやえぐ味が出てしまいます。
昆布を取り出した後沸騰したら少し差し水を加えてかつお節を入れて火を止めて3分くらい待ちます。
3分経過しましたらキッチンペーパー等を引いてだしをこします。
綺麗な黄金だしの完成です
「だしを引く」という言葉は(昆布やかつお節の)素材のうま味を自然に「引き出す」というところからきています。
和食の料理人がよく使う用語です。
一方、「だしを取る」と言う言葉は、コトコト、グツグツ煮込んで「取る」だしのことを言います。
ラーメンのだしやフォン・ド・ボーなどです。
やはりだしは出来合いのものではなく、昆布やかつお節などの素材から作るものに勝るものはありません。
皆様も、面倒がらずに素材のうま味を堪能するために手間を惜しまず作ってみてくださいね!
さて、冒頭にご紹介させていただきました「かす汁」ですが、関西でかす汁の具材といえば「ブリ」か「サケ」のあらが定番です。
(左)ブリのあら (左)サケのあら
魚の「あら」とは. 調理した後に残る、頭、中骨、かま(頭の下のえらからひれにかけての部分)、尾などのことです。
骨付きで旨味が多いため、塩焼き、あら煮、 かぶと煮のほか、出汁をとることなどに利用されます。
あらは塩で調味をしたあらを使います。
辛いものは塩抜きして、塩ぶりは今では手に入りにくいので、あら塩をして1日おいてから洗って使うと良いでしょう。
塩をすることで余分な水分が抜け魚の臭みがとれます。
ところでこのかす汁、新潟県糸魚川市の不知付近から諏訪湖を通って、安倍川(静岡市駿河区)付近に至る大断層線である
「糸魚川静岡構造線」の西と東で文化や嗜好が異なるとされます。
西がブリ派、東はサケ派になります。
大阪はかす汁といえばブリのあらを入れることが多かったのですが、今では多くの家庭がサケのあらを入れるようになりました。
金時人参、大根、かぶら、ごぼう、こんにゃく、うすあげを入れ、難波ねぎの刻んだものをたっぷりのせてできあがり。
呑みすけの私はかやくごはんを熱燗におきかえて小さな猪口でチビリチビリとやりながらかす汁をいただく。
熱燗でお腹がキュンと温まってきたら次はかす汁のうま味を舌で感じながら、ここちよい風味が喉の奥から鼻にフワッと抜けてゆく。
ああ幸せなひと時に感謝、感謝。
皆様もぜひこの最高のひと時を味わってみてください!
それでは次回もお楽しみに!