作成者:局長 ONさん
Ciao 局長のONさんです。
目覚めに、癒しに、皆さんがコーヒーを飲用しない日は少ないと思いますが、「本物のコーヒーって何かな?」と、
ふと考えたときに真っ先に私が思い浮かぶのはイタリアのエスプレッソです。
もっとも、イタリアでコーヒーと呼ばれるのはエスプレッソのことで、いわゆる普通のフィルターコーヒーは存在すらしません。
アメリカンコーヒーと呼ばれるメニューはありますが、大きめのカップにエスプレッソが少しと、お湯が別に付いてきます。
ちなみに、ミラノに昨年鳴り物入りでオープンしたスターバックス(店舗設計はまるで本家とは違いますが)でも、
メインは当然エスプレッソです。
エスプレッソと一般のコーヒー(以降コーヒーと呼びます)の最大の違いは抽出方法です。
エスプレッソが圧力をかけて瞬時に(正確には25~30秒)抽出するのに対し、一般のコーヒーは重力を利用しての
ペーパーフィルター抽出(2~6分)の違いがあります。
コーヒー豆は、挽いた瞬間から空気に触れることにより酸化が始まります。
酸化してしまうとコーヒー本来の旨味や香りが損なわれるだけではなく、人体にもあまり良い影響を与えません。
ですので、抽出時間が短い方が酸化による影響が大きくありません。
エスプレッソの聖地でもあるナポリでは、レストランでエスプレッソを頼むことは稀です。
なぜなら、キッチンで作ってテーブルまで持ってくるわずかの間に酸化してしまうと考えるからです。
人々は、レストランで食事の終わりに会計を済ませたらすぐに本物のエスプレッソを楽しみにバール(軽食喫茶店)に向かいます。
そこでカウンター越しにサーブ(提供)されたエスプレッソをサッと味わって食事を締めます。
イタリアでは外に出れば、バールは日本のコンビニ並みにありますが、自宅で気軽にエスプレッソを楽しみたい場合には、
「マッキネッタ」という簡易エスプレッソ器を使ってエスプレッソを飲みます。
私愛用のマッキネッタです
このマッキネッタという器械、イタリアの家庭ではおそらく大阪のタコ焼き器と同じぐらい普及しており、
これで作られたエスプレッソはイタリアでは「モカ」と呼ばれます。(コーヒー豆の港として有名なイエメンのモカにちなんでいます。)
下部に水をいれて、真ん中くらいのところに金属フィルターがあり、そこにエスプレッソ用よりも若干粗挽きに挽いた豆を詰めて
弱火にかけると、蒸気圧で水が上ってフィルターを通り上部に溜まり、モカが完成します。
このマッキネッタは使用後、洗剤を使って洗うこと、食洗器にかけることはご法度です。
「軽くゆすぐのみ!」というのが常識で、コーヒーの香りが器械に染みつくという都市伝説がまことしやかに信じられています。
(真偽のほどはいまだ確認したことはありません。)
ただ、モカとエスプレッソとの違いは、モカは味を左右する大切なポイントであるライトブラウン色のクリームが
うまく出来ないところです。
このクリームはクレーマと呼ばれ、美味しいエスプレッソには必ず出来ています。コーヒー豆の脂肪分がクレーマに変わります。
では、美味しいエスプレッソ(1杯分)の条件とは?
★挽きたての豆
★豆の量 7g
★抽出気圧 9気圧以上
★抽出温度 88-93℃
★抽出時間 25-30秒
★抽出されたエスプレッソの量 30ml
数値遵守はそれほど難しくありませんが、やはり「挽きたての豆を常に用意しておく」というのはバリスタの腕の見せ所です。
「朝一番にバールでエスプレッソを飲むな!(昨晩挽いて残ったコーヒー豆で作られるから)」とは誰もが言います。
次に、美味しく出来たエスプレッソを美味しく味わうには?
ほとんどのイタリア人が砂糖をたっぷり入れて軽くかき混ぜて、香りを楽しむやいなや2~3口で30mlのエスプレッソを飲み干します。
カップの底に溜まった砂糖もスプーンですくって口に入れたら、おしゃべりの開始。
口を動かすことによって、舌の上に残っているエスプレッソの芳香が出てきますので、それを味わいます。
イタリア人がおしゃべり好きなのはそのためかもしれません。よって、飲用後に水は決して飲みません。
水を出されたらそれは、エスプレッソの前に口を綺麗にしておくためのものです。
明日からはみなさん、挽きたて&入れ立てのコーヒーをさっと飲みましょう。テイクアウトはもちろんなしで!
エスプレッソに出会ったら、是非飲んだ後の時間をおしゃべりと共に楽しんでください。
それでは皆さん、Arrivederci!!