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北陸から山陰の人々、そして日本中が待っている!

 

日本海西部海域(富山~島根)のズワイガニ漁が11月6日に解禁をむかえ、午前0時になると一斉に網を入れる。

雄は松葉がに(山陰)や加能がに(石川)など地域のブランド名で愛され、3月20日の終漁まで美味しさを競演する。

メスはセコガニ、セイコガニなどと呼ばれ、オレンジ色の内子がたまらない。

こちらは資源保護の強化で12月いっぱいで終漁する。

 

                                 出漁風景

                                 オスガニ

                                 メスガニ

 

カニの目利き 百通り以上の評価

 

人々は愛着のあるものほど細かく分けて評価する。それが文化といえる。

アラブの国に行くと必需品のラクダを数百通りにも分けて評価する。

京都ではズワイガニを100通り以上に目利きする。いかに生活に根付いているのか、そこに文化を垣間見る。

 

                                 水揚げ風景

                                  入札を待つ

 

絶品!小型のズワイガニ ももくん

 

カニは脱皮を繰り返して成長するが、なぜか脱皮せず200~400㌘くらいの雄ガニが1~2割程度水揚げされる。

甲羅は固く、身は詰まっており、みそはしっかり詰まり、味・風味は最高である。

木津市場はももくんと名付けて普及に当たっている。

初めて口にした時の感動が今も忘れられない。甘くて濃厚なみそ、喉の奥から鼻に抜ける芳醇な身の香り。

「旨い! 」としか言葉が見つからない。

 

                                絶品のももくん

 

浜ゆでを食べろ!!

 

一番おいしいカニは何? と聞かれたら迷わず“浜ゆで”と答える。

浜ゆでの美味しさはすべてのカニに当てはまる。

活きたカニを産地の大きな釜で塩水の温度を下げることなく一気にゆでで上げる方法である。

カニは自己消化が早いので活きているものをゆでることがおいしさの条件である。

木津市場には但馬の4漁港で午前中に競り落としたものを昼一番からゆであげ、チルドで翌日早朝に入荷する。

昆布とかつおの効いた三杯酢か何もつけずにそのままいただく。一度食べたら忘れられない味覚である。

 

大きな釜で湯がく

                            今にもかぶりつきたいギッシリな身

 

カニ、そしてシーフードは誰のもの?

 

日本近海の漁業が異変続きである。

サンマやイカなど身近なシーフードが歴史的な不漁に見舞われている。

乱獲と環境変化が主な原因と思われる。

ズワイガニも例外ではない。

禁漁期間を設けるなど資源保護の取り組みが強化されているが、来年以降資源量が減少傾向をたどり、3年後には現在の約半分に落ち込むとの予測を日本海区水産研究所(新潟市)の研究チームがまとめている。

原因は特定できていないが、生後3、4年まで生き残る個体が減っている可能性があるという。

 

海の生き物は「無主物」といって誰のものでもないという考え方が続いてきた。

この考えは、獲ったもの勝ちということで乱獲につながった。

的確に管理すれば私たちの先の代まで食料をもたらしてくれる。

シーフードは「国民の共有財産」という考え方が少しずつ広がっている。

私たち消費者にできることはこのかけがえのない資源を余すところなく、大切にいただくこと、それが未来への一歩ではないか。